Atheist 澪標廻廊 編

――どれだけ大切に想っていても、彼女のことを忘れてしまう――

物語
 現代日本では自由に生きられない――黒野翔はそう諦めていた。
 国や社会、学校によって定められた枠組みから外れ生きていくのは困難で、減点方式の世の中では一度失った信用が戻ることは滅多にない。
 だから周りに深入りせず、問題を起こさず、荒波を立てず、無難に学生生活を送っていた。それが一番楽な生き方だったからだ。

 高校生活も三年生に上がり受験対策を意識した授業が続く日々の中で、ふと、ある手紙を見つける。
『三年生の俺へ――』
 そんな見出しの手紙は、二年生だった自分が書いたもののようだった。
 しかし、それを書いた覚えはまったくない。
『――彼女を救ってやってくれ』
 ばかばかしいと思った。
 それでもその手紙が気がかりで、黒野翔は手紙に書かれた内容を確認しようとする――。
登場人物
黒野翔
無難に取り繕いながらも周囲と距離をとる青年

勉強も運動もそれなりにこなし、教師からの評判も高い。
しかし必要以上に心を開くことを嫌い、
周囲にとって都合のいい人物像でいつつも
面倒ごとに巻き込まれないような無難な立ち位置にいる。
唯一の趣味は絵を描くこと。
相沢澪
明るく活発で少し慌ただしい女の子
美術の授業で黒野翔とペアとなった朗らかで背が低く小柄な女子生徒。
染めているわけでもないのに、なぜか髪の毛は黄金色をしている。
背が低いことを気にしている。
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